

磁界のあるところに電流が流れると、力が生まれるの?

電磁力というんだ。
有名なフレミングの左手の法則を使うと電磁力の向きがわかるよ。
1.電流のつくる磁界
(1)磁束と磁束密度
磁気学で計算する上でかかせないものに、磁束というものがあります。
磁束は周囲の透磁率に関係なく磁極から出る想像上の線を表します。
磁束は \(Φ\)(ファイ)と表記して、単位は \(Wb\)(ウェーバー)です。

単位面積当たりの磁束の量を磁束密度といい、記号は \(B\) で表し、単位は \(T\)(テスラ)または \(Wb/㎡\)(ウェーバー毎平方メートル)です。
※透磁率…磁気の通しにくさ。記号は \(μ\) 。詳しくはこちらの記事で解説しています。
(2)磁束密度と磁界の強さの関係
磁束密度と磁界の強さ(磁力線密度)には以下のような関係があります。
磁界は周囲の物質の透磁率が関係するので、関係式には透磁率が出てきます。
(3)磁束密度と磁界の強さの関係
図のような直線の導体に電流を流すと、決まった方向に磁界が発生します。

この電流が作る磁界の向きは、ねじを右に回して進む向きと同じなので、右ネジの法則と呼ばれています。

電流や磁界の向きを知りたいときは、ねじを使わず、図のように右手を使って判断できます。
右手の親指が電流の流れる向きで、ほかの指を握った時の向きが磁界の向きになります。

直線導体の周りに発生する磁界の強さ \(H\) は、電流 \(I\) の大きさに比例し、導体からの距離 \(r\) に反比例します。

※磁界の強さ=磁界の大きさ+磁界の向き
(4)円形コイルによる磁界
円形コイルの中心に発生する磁界の場合も、直線電流と同様に、電流 \(I\) の大きさに比例し、導線からの距離 \(r\) に反比例します。
公式が少し変わるので間違えないように注意しましょう。
ここでも右ねじの法則を使って磁界の向きを知ることができます。
この場合は、電流の向きが握った方の指の向きになり、親指の向きが磁界の向きになります。


(5)ソレノイドコイルによる磁界
図のように、円筒に導線を巻きつけるようにできたコイルのことを ソレノイドコイルと言います。
ソレノイドコイルの場合も右ネジの法則が使えます。

ソレノイドコイルは、円形コイルを何回も巻いたものと考えることができます。
そのため、ソレノイドコイルの中心の磁界の強さ \(H\) は1mあたりの巻き数 \(N\) に比例します。
2.電磁力
(1)電磁力の向きと大きさ(フレミングの左手の法則)
導体に電流が流れているとき、電流の向きと直角に磁界の影響を受けた場合、導体には力が働きます。

このような力は電磁力といい、記号は \(F\) で表し、単位は[N](ニュートン)を使います。
電磁力の向きは、あの有名なフレミングの左手の法則で説明されるものです。
学校では中指から親指に向かって「電流」「磁界」「電磁力」から「でん・じ・りょく」と教わったかもしれません。

電磁力の大きさは電流 \(I\) 、磁束密度 \(B\) 、磁束が貫く導体の長さ \(ℓ\)の積で求められます。
ここまでは磁束密度の方向と電流の方向が垂直な場合でした。
磁束密度と電流の向きが垂直以外の場合は、垂直成分を取り出して計算します。
垂直成分は図のように磁束密度と電流が作る角度 \(θ\) を使い、\(ℓsinθ\) [m]で表します。

※ここで電磁力の向きを表す図
は画面奥からこちら側に向かっている向きを表します。逆にこちら側から画面奥へ向かう向きは
で表します。これは+のねじの頭と先端の見た目から来ています。
(2)平行導体間に働く電磁力の大きさ
下の図のように、2本の平行導体\(A\) 、\(B\) が \(r\) [m]離れて置かれています。
それぞれに上向きの電流 \(I_A\) 、\(I_B\) が流れているとき、導体間に働く電磁力はどうなるでしょうか。

まず、導体\(A\)に流れる電流\(I_A\)によって、磁界\(H_A\)が発生します。
導体\(B\)側にできる磁界\(H_A\)は、画面の手前から奥へ向かう方向になります。

次に、磁界\(H_A\)によって導体\(B\)に発生する電磁力\(F\)を考えます。

さきほど見たように、電磁力\(F\)は電流\(I\)、磁束密度\(B\)を使って次のように表します。
\(F=IBℓ\ [N]\)
磁束密度\(B\)は磁界の強さ\(H\)と透磁率\(μ\)の積で表すので、以下のように変形できます。
\(F=μHIℓ\ [N]\)
今回は、導体の単位長さあたりに働く電磁力の大きさを求めたいので、長さは1とします。
磁界\(H_A\)によって導体\(B\)に発生する電磁力\(F\)は
\(F=μH_AI_B×1\)
この磁界\(H_A\)は、電流\(I_A\)に比例し導体からの距離\(r\)に反比例するため、以下のように表せます。
\(H_A=\displaystyle\frac{I_A}{2πr}\)
導体\(B\)に発生する電磁力\(F\)は式を変形して
\(F=μI_B×\displaystyle\frac{I_A}{2πr}\)
\(=\displaystyle\frac{μI_AI_B}{2πr}\)
と求められます。
同様に、導線Aが受ける力について考えると
\(F=μH_BI_A×1\)
\(=μI_A×\displaystyle\frac{I_B}{2πr}\)
\(=\displaystyle\frac{μI_AI_B}{2πr}\)
と求められます。
このように、作用・反作用の法則が働いているので、導線\(A\)が受ける力も導線\(B\)が受ける力も同一のものとなります。
続いて、電磁力の向きについても考えます。
先ほどのように、2本の導体には同じ方向に電流が流れています。

右ねじの法則から、導体\(A\)が導体\(B\)の側に作り出す磁界の向きは、画面の手前から奥に向かいます。
一方、導体\(B\)が導体\(A\)の側に作り出す磁界の向きは、画面の奥から手前に向かいます。

フレミングの左手の法則からもわかるように、導体\(A\)に働く電磁力の向きは右向きに、導体\(B\)に働く電磁力の向きは左向きになります。
このことから、同じ方向に電流が流れる2本の平行導体間には、互いを引き寄せあう力(引力)が働くことがわかります。

次に、2本の平行導体に反対向きの電流が流れる場合を考えます。
この場合、それぞれの導体が反対の導体側に作り出す磁界の向きは以下のようになります。

フレミングの左手の法則でもわかるように、導体\(A\)に働く力は左向きに、導体\(B\)に働く力は右向きになります。

このことから、2本の平行導体に逆向きの電流が流れている場合、その平行導体間には、反発しあう向きの力(斥力)が働きます。
3.まとめ
今回は、電磁力を中心にご説明しました。
電磁力については試験の時も図を書くとイメージしやすくなると思います。
今回出てきた公式を以下にまとめます。
