電験三種 理論を解いてみた(令和6年度上期)解説

電気主任技術者
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先日、2024年8月18日、令和6年度上期第三種電気主任技術者試験が実施されました。

電験三種に合格している私としては、この試験は理解できていないといけないのですが、全く自信がありません(笑)

そこで復習を兼ねて、今回の電験三種、「理論」科目の問題を解いてみました。

文系、電気初心者の方にとっては電験三種の「理論」はかなりハードルの高い試験だと思います。

公表された解答を見ても、解き方がわからないという方の参考になれば幸いです。

問題については以下のリンクから確認してください。(引用元:電気技術者センター)
https://www.shiken.or.jp/chief/upload/20240818_ch_third_q01.pdf

筆者の受験記録はこちら(学習時間や使用した教材など)

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1.解答と解説

問1 並行平板コンデンサの等電位線について

\(C=\displaystyle\frac{ εS }{ d }\)・・・①
C:静電容量[F] ε:誘電率[F/m] S:極板の面積[㎡] d:極板間の距離[m]

\(V=\displaystyle\frac{ Q }{ C }\) ・・・②
V:電圧[V] Q:電荷[C] C:静電容量[F]

誘電率が大きいと静電容量が大きくなります。 (式①)
また、静電容量が大きいと電圧は小さくなります。(式②)
以上から、誘電率の小さい誘電体の方が等電位線が多くなります
(固体の誘電率が空気の6倍なので、等電位線の本数は6分の1)

答えは(5)となります。

問2 導体球の電荷について

\(E=\displaystyle\frac{ q }{ 4πε_0r^2 }\)
E:電界強度[V/m] q:電荷[C] ε0:真空の誘電率[F/m] r:導体球の半径[m]

導体球表面の電界の強さを求める公式は上記の通り。これを電荷であるq=の形に変形すればいい
半径a[m]の導体球に帯電できる電荷の値は以下のように表せます。

\(q=4πa^2Em\)

空気の絶縁耐力がEm(V/m)ということは、電界の強さがEm(V/m)までは導体に電荷を蓄えられるということ。(それ以上だと放電してしまう)

答えは(4)となります。

問3 磁気に関する量とその単位記号

磁束の単位はWb(ウェーバー)です。別の表記の仕方でV・sというのがあるのでややこしいのですが。

誤っているのは(2)となります。

問4 2本の導体により発生する合成磁束について

\(H=\displaystyle\frac{ I }{ 2πr }\)
H:磁界の強さ[A/m] I:導体に流れる電流[A] r:導体からの距離[m]

直線導体に流れる電流と磁界の強さの関係を表す式で求められます。

2つ \(l\;\)の磁界\(H_1\)、\(H_2\)の強さが等しくなる距離 \(l\;\)を求めればいいので、

\(H_1=\displaystyle\frac{ 1.2 }{ 2π\times0.3 }=\displaystyle\frac{ 2 }{ π }\)・・・①

\(H_2=\displaystyle\frac{3}{2π\;(l+0.3)}\)・・・②

①=②より

\(\displaystyle\frac{2}{π}=\displaystyle\frac{3}{2π\;(l+0.3)}\)

\(4π\;l+1.2π=3π\)

\(4\;l=3-1.2\)

\(l=\displaystyle\frac{1.8}{4}=0.45\) [m]

答えは(2)となります。

問5 複雑な直流回路の計算

重ね合わせの理を使って解きます。

電源電圧が2つなので、2つに分けて計算して合算します
電流の流れから直並列の関係をわかりやすく整理すると以下のようになります。

閉回路1
閉回路2

閉回路1の合成抵抗は\(R=60\) [Ω]
回路全体の電流は\(I=\displaystyle\frac{ 60 }{ 60 }=1\) [A]
分流の法則からRに流れる電流は
\(I\times\displaystyle\frac{ 40 }{ 80 }=0.5\) [A]

閉回路2の合成抵抗は\(R=80\) [Ω]
回路全体の電流は\(I=\displaystyle\frac{ 80 }{ 80 }=1\) [A]
分流の法則からRに流れる電流は
\(I\times\displaystyle\frac{ 60 }{ 90 }≒0.667\) [A]

電流を足し合わせると、向きが逆なので
\(I=0.667-0.5=0.167\) [A]

Rで消費される電力は
\(P=RI^2=10\times0.0279≒0.28\) [W]

答えは(1)となります。

問6 直流回路の抵抗値の計算

以下のように2つの閉回路に分解して、重ね合わせの理を使って解きます。

閉回路1
閉回路2

0.3Aと並列に分れてる電流を\(I\)として、6Ωに流れる電流は\(I+0.3\)となり、電源2つと抵抗2つの閉回路2つとして考えます。

キルヒホッフの第二法則より、「任意の閉回路において、起電力の和は電圧降下の和に等しい」を使います。

閉回路1の起電力[V]の和と電圧降下[V]の和は
\(9+4=6(I+0.3)+I\)
\(13=6I+1.8+I\)
\(7I=11.2\)
\(I=1.6\) [A] ・・・①

閉回路2の起電力[V]の和と電圧降下[V]の和は
\(9+3=6(I+0.3)+0.3R\)
\(12=6I+1.8+0.3R\)
\(0.3R=10.2-6I\) ・・・②

②式に①式を代入すると
\(0.3R=10.2-6\times1.6\)
\(0.3R=0.6\)
\(R=2\) [Ω]

答えは(1)となります。

問7 直流並列回路で可変抵抗に発生するジュール熱について

設問の条件を図にすると以下のようになります。

ジュール熱を求めるというのは、消費電力を求めることと同じです。

最大供給電力の定理というルールを使うとすぐに解けます。
これは内部抵抗\(r\)と起電力\(E\)の回路に抵抗\(R\)を繋げると、\(r=R\)のときに最大電力となるというもの。

この問題では、\(R_2\)と二つの合成抵抗である\(\displaystyle\frac{rR_1}{r+R_1}\)が等しいとき最大電力になります。

回路の電流を\(I\)として式を立てて計算する方法もありますが、ここでは割愛します。

答えは(3)の\(R_2=\displaystyle\frac{rR_1}{r+R_1}\)となります。

問8 直列共振回路の共振周波数について

\(f=\displaystyle\frac{1}{2π\sqrt{LC}}\)
f:周波数[Hz] L:インダクタンス[H] C:静電容量[F]

公式に当てはめて計算すると

回路Aは\(f_A=\displaystyle\frac{1}{2π\sqrt{LC}}\)
回路Bは\(f_B=\displaystyle\frac{1}{2π\sqrt{2LC}}\)
回路AとBの直列回路は\(f_{AB}=\displaystyle\frac{1}{2π\sqrt{3L・\frac{C^2}{2C}}}=\displaystyle\frac{1}{2π\sqrt{\frac{3}{2}LC}}\)

よって共振周波数の大きさは\(f_B<f_{AB}<f_A\)となります。

以上から答えは(3)となります。

問9 ひずみ波の交流電力の計算

基本波と高調波を分けて計算して合算します

\(P=\displaystyle\frac{v}{\sqrt{2}}・\displaystyle\frac{i}{\sqrt{2}}cos(θ-φ)\)
P:消費電力[W] v:電圧の瞬時値[V] i:電流の瞬時値[A] θ:電圧の初期位相[rad] φ:電流の初期位相[rad]

基本波は
\(P1=\displaystyle\frac{100}{\sqrt{2}}・\displaystyle\frac{20}{\sqrt{2}}・cos(0-(-\displaystyle\frac{π}{6})\)
  \(=1000・cos\displaystyle\frac{π}{6}\)
  \(=500\sqrt{3}\)
  \(≒866\) [W]

高調波(第三高調波)は
\(P3=\displaystyle\frac{50}{\sqrt{2}}・\displaystyle\frac{10\sqrt{3}}{\sqrt2}・cos(-\displaystyle\frac{π}{6}-(-\displaystyle\frac{π}{6})\)
  \(=250\sqrt{3}・cos\displaystyle\frac{π}{3}\)
  \(≒216\) [W]

二つを合算すると
\(866+216=1082\) [W]

以上から答えは(2)の1.08[kW]となります。

問10 RLC回路の電流値の変化

直流の場合、定常状態ではリアクトルは短絡、コンデンサは開放として扱います。この回路では定常状態では電流は流れず、\(i_s=0\)です。

\(t=0\)でスイッチSを閉じると、リアクトルは始めは電流を流しませんが、徐々に流して\(i_s\)は最大になります。
コンデンサは蓄えられていた電荷を放出するので、\(i_s\)は最大から徐々に\(0\)になっていきます。

抵抗とリアクトルの閉回路では、リアクトルが短絡と同じ状態になると\(\displaystyle\frac{1[V]}{1[Ω]}=1[A]\)が流れます。
一方、コンデンサは定常状態で電源と同じ\(1V\)の電圧がかかっていて、スイッチSを閉じると徐々に\(0V\)になっていきます。抵抗が\(1Ω\)なので、ここでも最大\(1A\)が流れます。

時定数はそれぞれ\(τ=\displaystyle\frac{L}{R}\)、\(τ=RC\)なので、リアクトルの方は\(τ=1\) [s]、コンデンサの方は\(τ=2\) [s]となります。
リアクトルが定常状態になったあともしばらくコンデンサから電流が流れるので、\(1A\) を超える時間が存在します。

答えは(3)になります。

問11 バイポーラトランジスタと電界効果トランジスタの違い

バイポーラトランジスタは電流を制御して動作する半導体素子です。小さなベース電流でエミッタコレクタ間を開放します。

電界効果トランジスタ(FET)はゲート電圧によってソース-ドレイン間の電流を制御します。

誤っているのは(4)だとわかります。

問12 電界と電荷と電圧と運動エネルギーの関係

\(\displaystyle\frac{1}{2}mv^2=eV\)
m:電子の質量[kg] v:速度[m/s] e:電気量[C] V:電圧[V]

電気量\(e\)の電子に電圧\(V\)のエネルギーを加えて加速した後の電子の速度\(v\)を表しています。

速度を表す形に変形すると、\(v=\sqrt{\displaystyle\frac{2eV}{m}}\)となります。

以上から、答えは(2)となります。

問13 並列交流回路の等価抵抗について

図1の等価回路が図2ということで、それぞれのアドミタンス\(Y_1\)、\(Y_2\)を求めて\(Y_1=Y_2\)の式を立てる。

ここでポイントなのが、十分小さい\(x\)の二乗は計算しない、という近似値のルールです。

図1のアドミタンス\(Y_1\)は
\(Y_1=jωC+\displaystyle\frac{1}{r+jωL}\)

 \(=jωC+\displaystyle\frac{1}{r+jωL}\times\displaystyle\frac{r-jωL}{r-jωL}\)

 \(=jωC+\displaystyle\frac{r-jωL}{r^2-\{-(ωL)^2\}}\)

 \(=\displaystyle\frac{r}{r^2+(ωL)^2}+j\displaystyle\left\{ωC-\displaystyle\frac{ωL}{r^2+(ωL)^2}\right\}\)

 \(ω≫r\)のため、\(r^2\)は無視して計算できます

 \(=\displaystyle\frac{r}{(ωL)^2}+j\displaystyle\left\{ωC-\displaystyle\frac{ωL}{(ωL)^2}\right\}\)

 \(=\displaystyle\frac{r}{(ωL)^2}+j\displaystyle\left(ωC-\displaystyle\frac{1}{ωL}\right)\)

図2のアドミタンス\(Y_2\)は
\(Y_2=jωC+\displaystyle\frac{1}{Rp}+\displaystyle\frac{1}{jωL}\)

 \(=jωC+\displaystyle\frac{1}{Rp}+\displaystyle\frac{1}{jωL}×\displaystyle\frac{j}{j}\)

 \(=\displaystyle\frac{1}{Rp}+j\displaystyle\left(ωC-\displaystyle\frac{1}{ωL}\right)\)

\(Y_1=Y_2\)なので \(\displaystyle\frac{r}{(ωL)^2}=\displaystyle\frac{1}{Rp}\) \(Rp=\displaystyle\frac{(ωL)^2}{r}\)

よって答えは(3)となります。

問14 電気計器について

ホイートストンブリッジは抵抗値を精密に測定することができます

よって答えは(3)となります。

ちなみに電子電圧計の抵抗値は大きくなければならず、クランプメーターは磁界を読むので打ち消してはなりません。絶縁抵抗計と接地抵抗計は説明が逆です。

問15 交流回路の計算

(a)\(\cosθ\)は\(\sinθ\)よりも\(\displaystyle\frac{π}{2}\)(90°)位相が進みますが、ここでは電流の符号が逆なので位相が180°変わります。
よって電流\(\cos0\)は電圧\(\sin0\)より90°遅れた波形となり、この負荷はコイルと判断できます。

負荷は、電圧÷電流なので、500÷50=10 [Ω]とわかり、ω=1000のため、

\(L=\displaystyle\frac{X_L}{ω}=\displaystyle\frac{10}{1000}=10\) [mH]

以上から答えは(4)となります。

(b)負荷はインダクタンスとわかっているので、\(W=\displaystyle\frac{1}{2}Li^2\)から、\(\displaystyle\frac{1}{2}×10×10^{-3}×50^2=12.5\) [J]となり、正解の選択肢は(3)とわかります。

問16 並列接続した電流計の最大測定値

(a)最大目盛と測定値の比を考えます

電流計Ⅰは90/100で0.9
電流計Ⅱは40/50で0.8
電流計Ⅲは35/50で0.7

以上から、電流計Ⅰが最も余裕がなく、先に最大値になってしまいます。
そのため、電流計Ⅰはあと1.11倍の電流しか測定できません。
他の電流計も同様に1.11倍の電流が流れたとすると、測定できる最大値は

\(100+44.44+38.85≒183\) [A]と求められます。

答えは(4)となります。

(b)先の問題で流した電流は合計165Aで、3台の電流計の配分はそれぞれ90/165、40/165、35/165です。
150Aが流れた場合も同じ割合で配分すると、81.8、36.36、31.81と求められます。

以上から答えは(5)となります。

問17 三相交流回路の合成静電容量の計算

(a)静電容量はΔ回路からY回路に変換した場合、3倍になるため、答えは(5)9.0μFとなります。
(インピーダンスは1/3倍になる)

(b)前問を踏まえて、静電容量の計算をします。直列は和分の積、並列は単純に足すという点に注意すると、\(C_0=4.84\) [μF]と求められます。答えは(3)となります。

問18 無線通信で行われるアナログ変調・復調について

(a)無線通信では送りたい情報を信号波といい、より高い周波数の搬送波と合成した変調波を送信します。
搬送波の振幅に対した信号波の振幅を変調率といいます。
変調波からもとの信号波を取り出すことを検波といいます。

正しい選択肢は(2)となります。

(b)電圧を加える入力側はベースです。
入力の\(v_2\)は信号波、出力の\(v_3\)が変調波となります。
変調度は変調波の最大値を\(a\)、最小値を\(s\)として、\(\displaystyle\frac{a-s}{a+s}\)で求められます。よって\(\displaystyle\frac{8-4}{8+4}=0.333\)となり、解答は(5)となります。

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2.まとめ

「理論」科目は計算問題が中心で、今回の試験でも純粋に知識を問う問題はA問題で3問、B問題では選択式の問18のみでした。点数にして25点です。(100点満点中。問18を選択しない場合は15点)

つまり全体の75~85%は計算問題ということになります。

私のように文系出身者には難しく感じるのですが、近年では大半が過去問からの出題ということもあり、多くの過去問に触れた人にはチャンスがあるのではないかと思います。

また、計算問題ではあるものの、公式を変形すれば解ける問題など、必要な計算の量はそこまで多くなかったかもしれません。

結果的に私は初見では半分以上解けませんでしたが、ネット上にあるわかりやすい解説に助けられました。

以下、参考にしたサイトを掲載します。

  ※実教出版の過去問解説ページは消えてしまったのか、見つからなくなっています。

【問題・解答はこちら】