

オームの法則ってあの、電圧=電流÷抵抗っていう?

そうなんだけど、これは電気回路ではなくて磁気回路なんだ。
とても似ていて、これを使うと磁気回路の計算が成り立つんだ。
1.磁気回路のオームの法則
(1)磁気回路のオームの法則
電気回路では電圧 \(E\ [V]\)、電流 \(I\ [A]\)、抵抗 \(R\ [Ω]\)の関係をオームの法則で表しました。
磁気回路でもオームの法則があり、これは起磁力 \(NI\ [A\ (アンペア)]\)、磁束 \(φ\ [Wb\ (ウェーバー)]\)、磁気抵抗 \(Rm\ [H^{-1}\ (毎ヘンリー)]\) の3つの関係を表します。
イギリスの電気工学者、ジョン・ホプキンソンにちなんで、ホプキンソンの法則ということもあります。
いかがでしょうか?電気回路のオームの法則に似てませんか?
この公式の起磁力NI、磁束φ、磁気抵抗Rmはそれぞれ電気回路では以下のように対応します。
(2)例題
そしてこの磁気回路のオームの法則が成り立つということは
磁気回路も電気回路と同じ方法で計算することができます。
例題を解きながら見ていきましょう。
図のように鉄心に巻かれた巻数\(N=50\ \)回のコイルに、電流\(I=10\ [A]\)が流れている。また、磁気抵抗\(Rm=5×10^5\ [H^{-1}]\)のとき、鉄心内の磁束\(φ\ [Wb]\ \)は。
ただし、漏れ磁束および、鉄心の磁気飽和は無視するものとする。

この場合、以下のような回路図を使って計算することができます。

磁束φの値を求めるには、磁気回路のオームの法則を使います。
まず、起磁力 \(NI\) は巻数 \(N\) と電流 \(I\) の積から求められます。
\(NI=50×10\)
\(=500\) \([A]\)
鉄心の磁気抵抗は \(Rm=5×10^5\) \([H^{-1}]\) とわかっているので
\(φ=\displaystyle\frac{NI}{Rm}\)
\(=\displaystyle\frac{500}{5×10^5}\)
\(=100×10^{-5}=0.001\) \([Wb]\)
このように、磁気回路でも電気回路のオームの法則と同じようにして計算することができました。
2.透磁率と磁気抵抗
(1)透磁率
鉄に磁石を近づけると、鉄が磁石にくっつきます。
これは鉄が磁石の作り出す磁場に反応したからで、このような物質の変化を「磁化」するといいます。
しかし、物質によっては磁石にくっつかないものもあります。
このように物質によって磁化のしやすさは異なり、このような「物質の磁化しやすさ」を透磁率という定数で表します。
透磁率は記号\(μ\)(ミュー)で表し、単位は\(H/m\)(ヘンリー毎メートル)です。
透磁率の中でも、真空の透磁率は\(μ_0\)と表します。
電気工事士試験では使いませんが、真空の透磁率は\(4π×10^{-7}\)とされています。
(2)磁気抵抗の求め方
磁気抵抗の大きさは、磁路の長さ \(l\) [m]に比例し、透磁率 \(μ\) [H/m]と断面積 \(A\) [㎡] に反比例します。
これは電気抵抗の大きさを決める、導体の長さ \(l\) [m]、導電率 \(σ\) [S/m]、断面積 \(A\) [㎡]の関係に似ています。
※(\(σ\):シグマ)
磁気回路における磁気抵抗に関する次の記述のうち,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 磁気抵抗は,次の式で表される。
\(磁気抵抗=\displaystyle\frac{起磁力}{磁束}\)
(2) 磁気抵抗は,磁路の断面積に比例する。
(3) 磁気抵抗は,比透磁率に反比例する。
(4) 磁気抵抗は,磁路の長さに比例する。
(5) 磁気抵抗の単位は,\([H^{-1}]\) である。
先ほどの公式が分かっていれば簡単に解くことができます。
誤っているのは(2)の「磁気抵抗は,磁路の断面積に比例する。」です。
比例ではなく反比例が正しい回答になります。
3.エアギャップ
鉄心に存在する隙間のことをエアギャップといいます。

このような場合、鉄心と真空という異なる磁気抵抗の直列回路とみなすことができます。

図のような鉄心にコイルを巻き付けたエアギャップのある磁気回路の磁束φを\(2×10^{-3}\) \([Wb]\) にするために必要な起磁力\(Fm\) \([A]\) は。
ただし、鉄心の磁気抵抗\(R_1=8×10^5\) \([H^{-1}]\) 、エアギャップの磁気抵抗\(R_2=6×10^5\) \([H^{-1}]\) とする。

イ.1400 ロ.2000 ハ.2800 ニ.3000
この過去問では対応する磁気回路が明示されていたので、公式に当てはめれば解ける問題でした。
ふたつの磁気抵抗が直列接続されています。
磁気回路のオームの法則を当てはめて起磁力を求めます。
\(NI=φ×Rm\)
=\(2×10^{-3}×(8×10^5+6×10^5) \)
=\(2×10^{-3}×(14×10^5) \)
=\(28×10^{(-3+5)}\)
=\(28×10^2=2800\) \([A]\)
となり、答えは ハ の \(2800 [A]\)だとわかります。
4.まとめ
今回は磁気回路のオームの法則を見ていきました。
電気回路の計算と比べるとマイナーな分野ですが、第一種電気工事士試験では定期的に出題されているので、余裕のある人は覚えておきましょう。
ポイントをまとめると以下の通りです。。
■磁気回路のオームの法則■
\(NI=φ×Rm\)
\(φ=\displaystyle\frac{NI}{Rm}\)
\(Rm=\displaystyle\frac{NI}{φ}\)
\(NI\):起磁力 \([A]\) \(φ\):磁束 \([Wb]\) \(Rm\):磁気抵抗 \([H^{-1}]\)
■磁気抵抗の大きさ■
\(Rm=\displaystyle\frac{l}{μA}\)
\(Rm\):磁気抵抗 \([H^{-1}]\) \(l\):磁路の長さ \([m]\) \(μ\):透磁率 \([H/m]\) \(A\):断面積 \([㎡]\)
■エアギャップは鉄心と真空の異なる磁気抵抗の直列回路と考える■
※これは今は表示させないようにしてる(class=test1)
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