【電気を学ぶ】三相交流回路(スター結線とデルタ結線)

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オウム先生
オウム先生

三相交流回路の結線について解説します。
電気工事士試験では頻出の分野なので、しっかり身につけましょう。

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1.三相交流回路とは?

(1)単相交流と三相交流の違い

三相交流回路の三相とはどういうことなのか。

一般家庭で使用される交流電源は単相交流回路といって、2本の線を使って1組(1相)の電気を送ります

交流の電気は大きさが周期的に変化します。

この時間による変化を電気の世界では位相と呼び、角度で表します。

位相をθ(角度)として横軸に、大きさをyとしてグラフにしたものが下の図です。左の円は位相を円の中心角として表しています。

一方の三相交流回路とは、単相交流を3つ合わせた回路です。

3本の線を使って3組の電気を送ることができ、工場や大規模ビルなど大きなエネルギーが必要なところで使われます。

3つの相(a、b、c)はそれぞれ\(\displaystyle\frac{2π}{3}\)(120°)ずつ位相が異なっています

*πは180°のこと。半径1の半円の中心角をπとして表す方法を孤度法といいます。

単相の電気を「電灯」、三相の電気を「動力」と呼ぶこともあります。

(2)三相交流の結線の種類

三相交流では3つの相をつなぐ方法に種類があります。

代表的な結線方法がスター結線(Y結線)デルタ結線(Δ結線)です。

スター結線(Y結線)とは3つの相のつなぎ方がYの字(スター型)になっている結線方法です。

スター結線

一方、デルタ結線(Δ結線)とは3つの相のつなぎ方が三角形(デルタ型)になっている結線方法です。

デルタ結線

(3)三相交流の電圧と電流

三相交流回路では、計算に使う電圧、電流についても2種類あります。

電圧は相電圧\(V_p\)線間電圧\(V_l\)に分けて考えます。

\(V_p\)の\(p\)はphase(相)の\(p\)、\(V_l\)の\(l\)はline(線)の\(l\)だといわれます。

電流は相電流\(I_p\)線電流\(I_l\)に分けて考えます。

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2.スター結線

(1)スター結線の相電圧と線間電圧

スター結線の線間電圧\(V_l\)は相電圧\(V_p\)の\(\sqrt{3}\)倍となり、線間電圧\(V_l\)の位相は相電圧\(V_p\)より\(\displaystyle\frac{π}{6}\)(30°)進みます

なぜそうなるのか見ていきます。

a、b、c3つの相からなる三相交流回路を考えます。

相電圧はそれぞれ\(E_{a}\)、\(E_{b}\)、\(E_{c}\)、線間電圧はそれぞれ\(V_{ab}\)、\(V_{bc}\)、\(V_{ca}\)として回路図を書くと以下のようになります。

ここでa相とb相の回路のみに注目すると、線間電圧\(V_{ab}\)は相電圧\(E_{a}\)と相電圧\(E_{b}\)を足し合わせたものだと分かります。

しかし、相電圧\(E_{a}\)と相電圧\(E_{b}\)は向きが違います。
よって線間電圧\(V_{ab}\)は相電圧\(E_{a}\)と、向きが反対の\(-E_{b}\)を合わせたものになります。

\(V_{ab}=E_{a}-E_{b}\)

これをベクトル図で表すと以下のようになります。

ベクトルの合成は\(E_a\)、\(-E_b\)を含む平行四辺形を書き、原点Oから対角線になるベクトルを書きます。

三平方の定理から線間電圧\(V_{ab}\)は相電圧\(E_a\)の\(\sqrt{3}\)倍になることがわかります。

また、線間電圧\(V_{ab}\)は相電圧\(E_a\)よりも\(\displaystyle\frac{π}{6}\)(30°)反時計回りに移動しています。これは位相が30°進んでいることを意味します。

\(V_{bc}\)、\(V_{ca}\)についても同様に相電圧の\(\sqrt{3}\)倍になり、位相が\(\displaystyle\frac{π}{6}\)(30°)進みます。

スター結線の線間電圧\(V_l\)は相電圧\(V_p\)の\(\sqrt{3}\)倍になる

スター結線の線間電圧\(V_l\)は相電圧\(V_p\)より位相が\(\displaystyle\frac{π}{6}\)(30°)進む

(2)スター結線の相電流と線電流

スター結線の線電流\(I_l\)は相電流\(I_p\)と等しくなります

なぜそうなるのか見ていきます。

a、b、c3つの相からなる三相交流回路を考えます。

相電流はそれぞれ\(I_{ab}\)、\(I_{bc}\)、\(I_{ca}\)、線電流はそれぞれ\(I_{a}\)、\(I_{b}\)、\(I_{c}\)として回路図を書くと以下のようになります。

a相に注目すると、電源を流れる相電流\(I_{ab}\)と負荷に向かう線電流\(I_a\)は同じ電流です。

この図から線電流\(I_a\)と相電流\(I_{ab}\)は同じ電流だということがわかります。

これは他の相(b相、c相)についても同様です。

スター結線の線電流\(I_l\)と相電流\(I_p\)は等しい

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3.デルタ結線

(1)デルタ結線の相電圧と線間電圧

デルタ結線の線間電圧\(V_l\)は相電圧\(V_p\)と等しくなります

なぜそうなるのか見ていきます。

a、b、c3つの相からなる三相交流回路を考えます。

相電圧はそれぞれ\(E_a\)、\(E_b\)、\(E_c\)、線間電圧はそれぞれ\(V_{ab}\)、\(V_{bc}\)、\(V_{ca}\)として回路図を書くと以下のようになります。

ここでa相のみに注目すると、線間電圧\(V_{ab}\)は相電圧\(E_a\)と等しいことがわかります。

これは他の相(b相、c相)についても同様です。

デルタ結線の線間電圧\(V_l\)と相電圧\(V_p\)は等しい

(2)デルタ結線の相電流と線電流

デルタ結線の線電流\(I_l\)は相電流\(I_p\)の\(\sqrt{3}\)倍となります。

また、デルタ結線の線電流\(I_l\)の位相は相電流\(I_p\)の位相より\(\displaystyle\frac{π}{6}\)(30°)の遅れとなります。

なぜそうなるのか見ていきます。

a、b、c3つの相からなる三相交流回路を考えます。

相電流はそれぞれ\(I_{ab}\)、\(I_{bc}\)、\(I_{ca}\)、線電流はそれぞれ\(I_a\)、\(I_b\)、\(I_c\)として回路図を書くと以下のようになります。

ここで線電流\(I_a\)に注目すると、点aには相電流\(I_{ab}\)が流れ込む一方で、相電流\(I_{ca}\)は流れ出ています。

つまり、線電流\(I_{a}\)は相電流\(I_{ab}\)から相電流\(I_{ca}\)を引いたものになります。

\(I_a=I_{ab}-I_{ca}\)

これをベクトル図で表すと以下のようになります。

ベクトルの合成は\(I_{ab}\)、\(-I_{ca}\)を含む平行四辺形を書き、原点Oから対角線になるベクトルを書きます。

三平方の定理から線電流\(I_a\)は相電流\(I_{ab}\)の\(\sqrt{3}\)倍になることがわかります。

また、線電流\(I_a\)は相電流\(I_{ab}\)より\(\displaystyle\frac{π}{6}\)(30°)時計回りに移動しています。これは30°遅れていることを意味しています。

\(I_b\)、\(I_c\)についても同様に相電流の\(\sqrt{3}\)倍になり、位相が\(\displaystyle\frac{π}{6}\)(30°)遅れます。

デルタ結線の線電流\(I_l\)は相電流\(I_p\)の\(\sqrt{3}\)倍になる

デルタ結線の線電流\(I_l\)は相電流\(I_p\)より位相が\(\displaystyle\frac{π}{6}\)(30°)遅れる

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4.デルタスター変換(Δ-Y変換)

計算をするためにデルタ結線をスター結線に変換する場合があります。これをデルタスター変換(Δ-Y変換)といいます。

デルタ結線をスター結線に変換する公式は以下の通りです。

\(Z_{Ya}=\displaystyle\frac{Z_{Δc}Z_{Δa}}{Z_{Δa}Z_{Δb}+Z_{Δb}Z_{Δc}+Z_{Δc}Z_{Δa}}\)

\(Z_{Yb}=\displaystyle\frac{Z_{Δb}Z_{Δc}}{Z_{Δa}Z_{Δb}+Z_{Δb}Z_{Δc}+Z_{Δc}Z_{Δa}}\)

\(Z_{Yc}=\displaystyle\frac{Z_{Δa}Z_{Δb}}{Z_{Δa}Z_{Δb}+Z_{Δb}Z_{Δc}+Z_{Δc}Z_{Δa}}\)

負荷のインピーダンス\(Z_{Δa}\)、\(Z_{Δb}\)、\(Z_{Δc}\)の大きさが等しい場合、スターデルタ変換すると\(Z_{Ya}\)、\(Z_{Yb}\)、\(Z_{Yc}\)は変換前の\(\displaystyle\frac{1}{3}\)倍になります。

\(Z_Y=\displaystyle\frac{1}{3}Z_Δ\)

デルタ結線のインピーダンスはデルタスター変換すると\(\displaystyle\frac{1}{3}\)倍になる

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5.スターデルタ変換(Y-Δ変換)

逆にスター結線をデルタ結線に変換する場合もあります。これをスターデルタ変換(Y-Δ変換)といいます。

スター結線をデルタ結線に変換する公式は以下の通りです。

\(Z_{Δa}=\displaystyle\frac{Z_{Ya}Z_{Yb}+Z_{Yb}Z_{Yc}+Z_{Yc}Z_{Ya}}{Z_{Yc}}\)

\(Z_{Δb}=\displaystyle\frac{Z_{Ya}Z_{Yb}+Z_{Yb}Z_{Yc}+Z_{Yc}Z_{Ya}}{Z_{Ya}}\)

\(Z_{Δc}=\displaystyle\frac{Z_{Ya}Z_{Yb}+Z_{Yb}Z_{Yc}+Z_{Yc}Z_{Ya}}{Z_{Yb}}\)

負荷のインピーダンス\(Z_{Ya}\)、\(Z_{Yb}\)、\(Z_{Yc}\)の大きさが等しい場合、スターデルタ変換すると\(Z_{Δa}\)、\(Z_{Δb}\)、\(Z_{Δc}\)は変換前の3倍になります。

\(Z_Y=3Z_Δ\)

デルタ結線のインピーダンスはデルタスター変換すると3倍になる

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6.まとめ

以上が、三相交流回路の結線についての基本となります。

今回の説明は電気工事士(特に一種)向けの内容となっております。

電験三種を受験する場合は、複素数の知識が必要になりますが、今回は複雑になる為、簡略化しております。

今回の内容をまとめると以下のようになります。

まとめ

スター結線■

・スター結線の線間電圧\(V_l\)は相電圧\(V_p\)の\(\sqrt{3}\)倍になる

・スター結線の線間電圧\(V_l\)は相電圧\(V_p\)より位相が30°進む

・スター結線の線電流\(I_l\)と相電流\(I_p\)は等しい

デルタ結線■

・デルタ結線の線間電圧\(V_l\)と相電圧\(V_p\)は等しい

・デルタ結線の線電流\(I_l\)は相電流\(I_p\)の\(\sqrt{3}\)倍になる

・デルタ結線の線電流\(I_l\)は相電流\(I_p\)より位相が30°遅れる

■デルタスター変換■

 \(Z_{Ya}=\displaystyle\frac{Z_{Δc}Z_{Δa}}{Z_{Δa}Z_{Δb}+Z_{Δb}Z_{Δc}+Z_{Δc}Z_{Δa}}\)

 \(Z_{Yb}=\displaystyle\frac{Z_{Δb}Z_{Δc}}{Z_{Δa}Z_{Δb}+Z_{Δb}Z_{Δc}+Z_{Δc}Z_{Δa}}\)

 \(Z_{Yc}=\displaystyle\frac{Z_{Δa}Z_{Δb}}{Z_{Δa}Z_{Δb}+Z_{Δb}Z_{Δc}+Z_{Δc}Z_{Δa}}\)

・デルタ結線のインピーダンスはデルタスター変換すると\(\displaystyle\frac{1}{3}\)倍になる

■スターデルタ変換■

 \(Z_{Δa}=\displaystyle\frac{Z_{Ya}Z_{Yb}+Z_{Yb}Z_{Yc}+Z_{Yc}Z_{Ya}}{Z_{Yc}}\)

 \(Z_{Δb}=\displaystyle\frac{Z_{Ya}Z_{Yb}+Z_{Yb}Z_{Yc}+Z_{Yc}Z_{Ya}}{Z_{Ya}}\)

 \(Z_{Δc}=\displaystyle\frac{Z_{Ya}Z_{Yb}+Z_{Yb}Z_{Yc}+Z_{Yc}Z_{Ya}}{Z_{Yb}}\)

・デルタ結線のインピーダンスはデルタスター変換すると3倍になる