【学ぶ】配電線路の電圧降下の計算(ベクトル図から考える)

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よーすけ
よーすけ

今回は電圧降下について解説します。

ベクトルの意味することを理解できるようにしましょう。

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1.電圧降下とは?

第一種電気工事士試験で頻出であり、電験三種でも出題されることのある、配電線路の電圧降下についての計算問題。

まず、電圧降下とは何か、ということから説明します。

電線に電流が流れます。しかし電線にはインピーダンス(抵抗・リアクタンス)があるため、負荷に電流が流れるときと同様に、電線でも電圧が下がってしまうのです。

せっかく電気を送り出しても、負荷に届くころには必要な電圧が足りない、なんてことも起きてしまうわけです。

そこで、電圧降下を少なくすることと同時に、送り出す電圧を調整する必要もあるのです。

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2.電圧降下の計算

(1)電圧降下の基本(抵抗のみの場合)

電圧降下の計算は、まずオームの法則を使います。

抵抗と電流から電圧降下が求められます。

1線あたりの電圧降下(抵抗のみの場合)

\(V=Ir\)

\(V\):電圧降下[V] \(I\):電流[A] \(r\):電線1m当たりの抵抗[Ω/m]

単相2線式の線間電圧を求める場合は電線が2本なので1線あたりの抵抗と流れる電流から電圧降下を求めたら、それを2倍すれば線間の電圧降下が求められます

単相2線式回路の電圧降下(抵抗のみの場合)

\(V=2Ir\)

\(V\):電圧降下[V] \(I\):電流[A] \(r\):電線1m当たりの抵抗[Ω/m]

ここまでは、抵抗のみの場合の計算方法です。

(2)リアクタンスを含む電圧降下(ベクトル図で考える)

電線に抵抗のみでなく、リアクタンスが含まれる場合の電圧降下を求めます。ここでは電線1本分で考えます。

送電端電圧を\(V_s\)、受電端電圧を\(V_r\)として、電圧降下\(V_s-V_r\)を求めるため、ベクトル図を書いていきます。

①基準となる受電端電圧\(V_r\)を書く

基準なので、原点Oから0°の方向へベクトルを書きます。

②cosθ回転した線路電流\(I\)を書く

続いて線路電流\(I\)のベクトルを書きます。

力率cosθの影響で、線路電流\(I\)は受電端電圧\(V_r\)よりθ遅れるため、時計回りに回転させた位置に書きます。

③線路電流\(I\)に平行な抵抗分の電圧降下\(RI\)を書く

次に抵抗分の電圧降下\(rI\)のベクトルを書きます。

抵抗に電流が流れても位相の変化はないので、抵抗分の電圧降下\(rI\)は線路電流\(I\)と同相です。

受電端電圧\(V_r\)の終端を起点に、線路電流\(I\)と平行に書きます。

抵抗分の電圧降下\(rI\)の大きさは\(rIcosθ\)となります。

④抵抗分の電圧降下\(rl\)から90°回転したリアクタンス分の電圧降下\(xI\)を書く

リアクタンス分の電圧降下\(xI\)のベクトルを書きます。

リアクタンスに電流が流れると電圧の位相は90°進みます。

つまり、リアクタンス分の電圧降下\(xI\)は抵抗分の電圧降下\(rI\)より90°位相が進むため、時計回りに90°回転した位置になります。

リアクタンス分の電圧降下\(xI\)の大きさは\(xIsinθ\)となります。

⑤原点Oまでを結ぶと、送電端電圧\(V_s\)の大きさが求められる

最後に、リアクタンス分の電圧降下\(xI\)からOまでを結びます。これが送電端電圧\(V_s\)です。

しかし実際は縦の成分、\(xIcosθ-rIsinθ\)が無視できるほど小さいので、\(V_s\)は\(V_r\)に\(rIcosθ\)と\(xlsinθ\)を足し合わせた部分と考えるのが一般的です。

よって電圧降下は以下の公式で求められます。

1線あたりの電圧降下(遅れ力率)

\(V_s-V_r=I(rcosθ+xsinθ)\)

\(V_s\):送電端電圧[V] \(V_r\):受電端電圧[V] \(I\):電流[A] \(r\):電線1m当たりの抵抗[Ω/m] \(x\):電線1m当たりのリアクタンス[Ω/m] cosθ:力率 sinθ:無効率

ちなみに、深夜などでは負荷(遅れ力率)の使用が少なく、力率が進みになる場合があります。

その場合は、電流が電圧に対して進みになるため、ベクトル図の形も変わります

このように\(V_s\)が\(V_r\)より小さくなるため、電圧降下の公式も符号が逆になるので注意してください。

1線あたりの電圧降下(進み力率)

\(V_s-V_r=I(rcosθ-xsinθ)\)

\(V_s\):送電端電圧[V] \(V_r\):受電端電圧[V] \(I\):電流[A] \(r\):電線1m当たりの抵抗[Ω/m] \(x\):電線1m当たりのリアクタンス[Ω/m] cosθ:力率 sinθ:無効率

参考)このような、負荷が進み力率のときに受電端電圧が送電端電圧よりも高くなる現象を「フェランチ効果」といいます。

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3.配電線の電圧降下を考える

(1)三相3線式配電線路の電圧降下

配電線とは、変電所から需要家などへ電気を送っている線路のことです。

配電線は三相3線式(3φ3W)であることが多いです。

試験では配電線路の送電端(送電する側)と受電端(受電する側)の間での電圧降下について問われます。

求めたい電圧降下は線間電圧ですが、計算は1相分を取り出して計算する為、相電圧に変換して行う必要があります。

このように電源側と負荷側の中性点を結んで、3つの相に分けて計算します。

相電圧は線間電圧の\(\displaystyle\frac{1}{\sqrt{3}}\)になるため、1相分の送電端電圧は\(\displaystyle\frac{V_s}{\sqrt{3}}\)、1相分の受電端電圧は\(\displaystyle\frac{V_r}{\sqrt{3}}\)になります。

これを電圧降下の公式に当てはめて計算すると

\(\displaystyle\frac{V_s}{\sqrt{3}}+\displaystyle\frac{V_r}{\sqrt{3}}=I(rcosθ-xsinθ)\)

\(V_s-V_r=\sqrt{3}I(rcosθ+xsinθ)\)

このように三相3線式の場合は電圧降下の公式に\(\displaystyle\sqrt{3}\)かけたものになります

三相3線式配電線路の電圧降下(遅れ力率の場合)

\(V_s-V_r=\displaystyle\sqrt{3}I(rcosθ+xsinθ)\)

\(V_s\):送電端電圧(相電圧)[V] \(V_r\):受電端電圧(相電圧)[V] \(I\):電流[A] \(r\):電線1m当たりの抵抗[Ω/m] \(x\):電線1m当たりのリアクタンス[Ω/m] cosθ:力率 sinθ:無効率

(2)なぜ\(\sqrt{3}\)なのか?

三相3線式回路ではなぜ\(\sqrt{3}\)がでてくるのでしょうか。

このことについて、くわしくはこちらの記事を参考にして頂ければと思います。

また、さきほどの回路図では電源がスター結線の場合で考えており、相電圧は線間電圧の\(\displaystyle\frac{1}{\sqrt{3}}\)であると説明しました。

ではデルタ結線の場合はどうなるのでしょうか。

デルタ結線では相電圧と線間電圧の大きさは同じのはずです。

ポイントはデルタ・スター変換です。

1相分の電圧降下を計算するにあたり、デルタ結線の場合はスター結線に変換する必要があります

デルタ・スター変換をすると相電圧は\(\displaystyle\frac{1}{\sqrt{3}}\)になります。(送電側・受電側ともに)

そのため、さきほどと同様に電圧降下を計算すると

\(\displaystyle\frac{V_s}{\sqrt{3}}-\displaystyle\frac{V_r}{\sqrt{3}}=I(rcosθ-xsinθ)\)

\(V_s-V_r=\sqrt{3}I(rcosθ+xsinθ)\)

このように、電源がスター結線でもデルタ結線でも、どちらでも公式が当てはまることがわかります。

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4.例題(第一種電気工事士 筆記試験)

令和5年度(午前) 問6、(令和3年度(午後) 問6)

問題:
図のような、三相3線式配電線路で、受電端電圧が6700V、負荷電流が20A、深夜で軽負荷のため力率が0.9(進み力率)のとき、配電線路の送電端電圧[V]は。
ただし、配電線路の抵抗は1線あたり0.8Ω、リアクタンスはであるとする。
なお、cosθ=0.9のとき、sinθ=0.436であるとし、適切な近似式を用いるものとする。

イ.6700 ロ.6710 ハ.6800 ニ.6900

答え:
解説:
負荷の力率が進みなので、電流は電圧に対して進みます。
そのため、電圧降下を求める式は
\(V_s-V_r=\sqrt{3}I(rcosθ-xsinθ)\)
となり、わかっている数値を代入すると
\(V_s-V_r=\sqrt{3}I(rcosθ-xsinθ)\)
\(=\sqrt{3}×20×(0.8×0.9-1×0.436)\)
\(≒9.83\)
受電端電圧\(V_r\)が6700なので答えは6700+9.83=約6710[V]となります。

<<その他の電気理論の解説についてはこちら>>