【電気を学ぶ】電磁気学③ 電磁誘導(磁束の変化と起電力の発生)

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よーすけ
よーすけ

コイルに磁石を近づけると、電流が流れるって習ったけど…

オウム先生
オウム先生

それは「電磁誘導」といって、発電機の原理にもなってるんだ。

試験でも必須の知識だから、しっかり覚えよう。

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1.電磁誘導とは

小学校のときにこんな実験をしたことを覚えているでしょうか?

図のように、豆電球をつけたコイルに磁石を近づけたり、遠ざけたりすると、不思議なことに、豆電球が点灯します。

この時コイルに流れる電流を誘導電流といい、コイルに発生する電圧を誘導起電力といいます。
起電圧ではない点に注意)

このような現象を総称して電磁誘導といいます。

電磁誘導の実験例
電磁誘導の例

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2.レンツの法則(誘導電流の方向)

電磁誘導が起きるとき、コイルに流れる電流の「向き」にはある原則があります。

誘導電流の方向は「磁束の変化を妨げる向き」に生じます。

これをレンツの法則といいます。

たとえば、図のように磁石をコイルに近づけると

コイルには右向きの磁束が増加することになります。

すると、コイルは元の状態を維持しようとして、左向きの磁束を発生させようとします。

その結果、左向きの磁束を発生させるための電流が流れることになります。

この時、コイルに発生する電流の向きは「右ねじの法則」で求めることができます

この右ねじの法則は、電流が作り出す磁界の向きを求めるときに使いました。

これはネジの進行方向とその時の回転方向が、磁束と電流の向きと一致することからこの名で呼ばれています。

実際には、右手を握った時の親指を磁束の向きとして、他の指の向きが電流の流れる方向になることを利用して求めます。

逆に、磁石を遠ざけ、コイルに左向きの磁束が増加するようになると、コイルにはそれを妨げる右向きの磁束を増やす向きに電流が流れます。

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3.ファラデーの法則(誘導起電力の大きさ)

次に、誘導起電力の大きさ」はどのように決まるかを見ていきます。

誘導起電力の大きさ\(e\) [V]は、単位時間あたりの磁束の増加量\(\displaystyle\frac{Δφ}{Δt}\)と等しくなります
(\(φ\):磁束[Wb] \(t\):時間[s])

これをファラデーの電磁誘導の法則といいます。

ファラデーの電磁誘導の法則

\(e=-\displaystyle\frac{Δφ}{Δt}\ [V]\)

\(e\):誘導起電力[V] \(φ\):磁束[Wb] \(t\):時間[s]

ファラデーの法則

符号がマイナスなのは、磁束の変化を妨げる方向という意味です

コイルがN回巻きの場合は、N個のコイルを直列につないだことと同じになり、起電力はN倍になります

ファラデーの電磁誘導の法則(N回巻きの場合)

\(e=-\displaystyle\frac{NΔφ}{Δt}\ [V]\)

\(e\):誘導起電力[V] \(N\):コイルの巻数[回] \(φ\):磁束[Wb] \(t\):時間[s]

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4.フレミングの右手の法則(誘導起電力の向き)

磁界中にある導体を、磁界に対して垂直方向へ動かしたとき、導体には起電力が発生します。

この向きを覚えるために使われるのが「フレミングの右手の法則」です。

左手は「電磁力の向き」を説明するものなので混同しないように注意しましょう。

覚え方としては、中指から「電・磁・力」と教わることが多いと思います。

「力」はその方向に力を加えるということです。

フレミングの右手の法則
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5.導体棒の起電力の大きさ

図のように、磁界中にあるコの字型の導体の上に、長さ\(ℓ\)の導体棒を1本置きます。

この導体棒を速度\(v\) [m/s]で矢印の方向に動かすとどうなるでしょう?

導体棒が作る回路(長方形の一周)は、回巻きのコイルとみなすことができます

導体棒を動かすとコイルを通過する磁束が増加します。

すると、コイルには磁束の増加を打ち消す方向に起電力が発生します。(レンツの法則)

このときに発生する起電力の大きさについて考えます。

磁束密度を\(B\ [T]\)、磁束の通過する面積を\(S\ [㎡]\)とすると、コイルを通過する磁束\(φ\ [Wb]\) は以下のようにあらわせます。

\(φ=BS\ [Wb]\)

次に面積について考えます。

導体棒は1秒間に\(v\ [m]\)進むため、磁束の通過する面積は1秒間に\(ℓ\ ×\ v\ [m^2]\)増加することになります。

面積の増加分を\(ΔS\ [m^2]\)とすると

\(ΔS=ℓv\ [m^2]\)

となります。

ファラデーの電磁誘導の法則の公式に当てはめると、導体棒を1秒動かしたときに発生する起電力が求められます。

\(e=-\displaystyle\frac{NΔφ}{Δt}\)

  \(=\displaystyle\frac{1×B×ℓv}{1}\)

  \(=Bℓv\ [V]\)

ただし、これは導体棒を磁束と垂直に動かした場合に限られます。

磁束と磁束の通過する面積\(ℓv\) が垂直でない場合は、垂直な速度成分を用いて計算します

以上をまとめると次のようになります。

誘導起電力の大きさ

\(e=Bℓv\ [V]\)

垂直な速度成分を考慮する場合

\(e=Bℓvsinθ\ [V]\)

\(e\):誘導起電力[V] \(B\):磁束密度[Wb/㎡] \(ℓ\):導体棒の長さ[m] \(v\):導体棒の移動速度[m/s] \(vsinθ\):導体棒の磁束と垂直な速度成分[m/s]

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6.電磁誘導まとめ

今回学んだ公式は以下の通りです。

電磁力の分野は電気系の資格でもよく問われる分野なので、過去問や問題集を繰り返し解いて、解き方を身に着けましょう。

まとめ

■ファラデーの電磁誘導の法則■

 \(e=-\displaystyle\frac{Δφ}{Δt}\ [V]\)

(N回巻きの場合)

 \(e=-\displaystyle\frac{NΔφ}{Δt}\ [V]\)

 \(e\):誘導起電力[V] \(N\):コイルの巻数[回] \(φ\):磁束[Wb] \(t\):時間[s]

■導体棒の誘導起電力の大きさ■

 \(e=Bℓv\ [V]\)

(垂直な速度成分を考慮する場合)

 \(e=Bℓvsinθ\ [V]\)

 \(e\):誘導起電力[V] \(B\):磁束密度[Wb/㎡] \(ℓ\):導体棒の長さ[m] 
 \(v\):導体棒の移動速度[m/s] \(vsinθ\):導体棒の磁束と垂直な速度成分[m/s]