

電気の点検でよく「絶縁」を測るとか
「メガー」を当てるとかいうけど、あれってなんのこと?

絶縁抵抗測定のことだね。工事や点検では必須の作業だよ。
基準となる数値も重要だから必ず覚えておこう。
1.絶縁抵抗値とは?
絶縁抵抗測定は、電気回路や機器の絶縁抵抗値を測定することです。
この絶縁抵抗値の「絶縁」というのは電気が流れない性質のことをいいます。
電線の被覆や、ビニールテープ、樹脂製のカバーなど、電気を流さない性質を持つ物質のことを「絶縁体」と言います。
そして、この絶縁体で覆っている状態を「絶縁されている」と表現します。
一方で、裸電線のような電気を流す性質の物質のことは「導体」と言います。

「絶縁体」の代表的なものにゴムがあります。
一般的なゴムの抵抗値は約\(10^{13}\)〜\(10^{14}\)オームセンチメートル(Ω・cm)と大きな数値になっています。
ゴムのように、絶縁抵抗値はとても大きい数値を扱うので、単位も一般的には10の6乗を表すMΩ(メグオーム)を使います。
2.絶縁抵抗値が低いとどうなる?
電気が本来の通り道から外れてしまうことを「漏電」といいます。
「絶縁体」は電気が外に漏れ出ないようにカバーする役割があります。
その絶縁体の抵抗値が小さくなると、電気が漏れやすくなってしまいます。
電気が漏れて「漏電」してしまうと、火災や感電の危険があります。
そのため、絶縁抵抗値は基準値以上を維持しなければなりません。
その基準値はちゃんと法律で決められています。
| 電路の使用電圧 | 絶縁抵抗値 | |
| 300V以下 | 対地電圧150V以下 | 0.1MΩ以上 |
| 対地電圧150V超 | 0.2MΩ以上 | |
| 300V超 | 0.4MΩ以上 | |
3.絶縁抵抗値の測定方法
絶縁抵抗値を測定するには絶縁抵抗計を使います。これは通称「メガー」とも呼ばれます。

絶縁抵抗計にはコードが2本付いています。
その2本の間に電圧をかけ、測定物に流れる電流を測定し、オームの法則で抵抗値を計算しています。

オームの法則についてはこちらでも解説しています。
絶縁抵抗値の測定では主に、「①線間」と「②対地間」の2通りの測定があります。
「①線間」とは2本の電線の間の抵抗値のこと。
「②対地間」とは測定物と大地の間の抵抗値のこと。
この記事では②対地間の測定方法を説明します。
(1)測定したい回路をOFFにする
絶縁抵抗値の測定は、無電圧の状態で行います。
一般的にはブレーカーの二次側を測定するので、ブレーカーをOFFにします。
たまに古い設備だと、接地側がブレーカーではなく「ニュートラルスイッチ」になっている場合があります。
その場合は、このニュートラルスイッチもOFFにしないと、正しく測定できません。

(2)アース側のコードを接地端子に接続する
続いて、絶縁抵抗計の2本のコードのうち、アース側(黒いコード)を接地端子につなぎます。
よく接地端子が緑に塗装されていることがありますが
塗装されている部分には電気が流れませんので、塗装のない部分につなぎましょう。

(3)ゼロチェック(接地がつながっているかの確認)
測定する前に、今つないでいる接地端子がちゃんと大地につながっているかを確認します。
確認方法は、アース側のコードを接地端子につないだ状態で
もう一方のライン側のコード(赤いコード)を別の接地端子に触れさせて、
測定ボタンを押します。(レンジは100Vでいいです)
正しくつながっていれば、目盛りは「ゼロ」を示します。
もし接地端子がなければ、分電盤の筐体など、接地されている箇所ならどこでも大丈夫です。
このとき、測定する回路の中には抵抗(=コンセントや照明などの負荷)が含まれないため抵抗値がゼロになります。
これを「ゼロチェック」や「ゼロ確認」といいます。

(4)ライン側のコードを測定対象に接続する
正しく接地がつながっていることが確認出来たら、対象物を測定します。
絶縁抵抗計の電圧レンジは低圧であれば125V、250V、500Vの3種類あることが多いです。
測定したい回路の使用電圧によって電圧レンジを選びます。
測定方法はゼロチェックと同様、アース側のコードを接地端子につないだ状態で
ライン側のコード(赤いコード)をブレーカーの二次側に当てて測定ボタンを押します。
このとき、測定物は必ず電気が来ていない状態にします。(ブレーカーならOFFにする)
回路によっては数値が安定するまで時間がかかるので、安定したらその数値を読みます。

4.異常があったらどうする?(追跡調査)
測定した数値が基準より低いと「絶縁不良」となり、追跡調査をする必要があります。
追跡調査をするかは、お客様との契約内容によります。
追跡調査を行う場合、まずは分岐回路を調べることになります。

原因の分岐回路が特定出来たら、その回路の負荷を末端から順番に切り離して絶縁抵抗値を測定します。

もしこの時、絶縁抵抗値が改善した場合、切り離した負荷が原因だったことになります。
逆に、絶縁抵抗値が低いままであれば、隣の負荷を切り離して、再度測定・・・と繰り返し調べていきます。
負荷が多い場合は、末端ではなく途中で切り離して測定した方が効率的な場合もあります。
また、事前にお客様へヒアリングすることで、原因を絞り込むことができるかもしれません(調子の悪い機器がある、水回りなど)。
原因が特定できたら、その原因の機器などを切り離して、復旧します。
原因が特定できるまでこれを繰り返すので、長い時間がかかってしまうケースもあります。
そのため、「どこまで調査するのか?」「原因が特定できない可能性がある」など、事前にお客様に説明しておくとトラブルを防げるでしょう。
5.まとめ
絶縁抵抗値の測定は電気を安全に使用するために欠かせない点検です。
電気設備の新設や改修がある時以外にも、自家用電気工作物の法定点検では必ず実施します。
この記事が絶縁抵抗値測定を実施する方の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
絶縁抵抗値測定とは・・・
絶縁抵抗値は電気の漏れにくさ。火災や感電の防止のために必要。
絶縁抵抗値には法律で決まった基準値がある。
絶縁不良の場合は追跡調査を行うが、調査には時間がかかることがある。


