
1.電験三種の数学のレベルはどのくらい?
(1)文系数学(数学Ⅰ・A・Ⅱ・B)の知識を使う
電験三種では、有名なものだとオームの法則など、公式を使った計算問題が多く出題されます。
オームの法則
V= I× R
(V:電圧 l:電流 R:抵抗)
これは電気工事士の計算とは全く次元が異なります。
電気工事士の計算問題は中学レベルの計算で足りますが、電験三種は主に文系数学と言われる、高校1~2年生レベルの数学の知識が必要になります。
複素数、三角関数、ベクトルなど、文系数学の中でも特に、「電気数学」とも言われている範囲を使います。
高校卒業から時間が経っていれば、理系の方でも覚えてない場合があると思うので、不安な方は復習が必要かもしれません。
(2)「理論」科目で数学の知識が必要
電験三種では4科目の試験があります。
その中でも「理論」科目は計算問題が約7割とボリュームが大きいです。
それもB問題の方では1問で小問が2問あり、最初の問題で計算を間違えると、その後の問題も間違えてしまう可能性もあります。
一気に10点失うことになってしまい、合格基準点に達しにくくなります。(例年の合格基準点は60点)
数学が苦手な人はこの「理論」科目が一番大変に感じるかもしれません。
(3)3科目は計算問題が限定的
「理論」以外の3科目では計算問題の割合は低くなります。
計算問題の割合は、「電力」では約5割、「機械」は約6割、「法規」は約4割です。
どれも理論ほど複雑な計算は必要ない場合が多いですが、前述の文系数学は必須です。
| 科目 | 理論 | 電力 | 機械 | 法規 |
| 計算問題の割合 | 約 70% | 約 50% | 約 60% | 約 40% |
2.電験三種で必須の数学の単元は?
(1)複素数(数学Ⅱ・Ⅲ)
実数の組(a ,b)を、虚数単位iを使ってa+biと解し、これを一つの数と見た場合の呼び名。(Googleより)
電気では電流をiで表すので、混同を避けるため、虚数単位はjと表記します。
jを数字の前に置き、a+jbのように表記します。
実態のある大きさを表す実数aに対して、次元の違う大きさに虚数jbを使うことで、二次元の数字を表すことができます。
交流の電気は大きさだけでなく向き(位相差)が必要になるため(二次元)、虚数を加えた複素数を使って計算します。
横軸を実軸、縦軸を虚軸として以下のように複素数で表します。

複素数の大きさは絶対値(二乗してルート)を求めればわかります。
ちなみに、恥ずかしながら、私は電験三種の勉強をするまで複素数を知りませんでした。(学んだ記憶なし)
(2)三角関数(数学Ⅰ・Ⅱ)
交流回路には大きさと向きがあるため、後述のベクトルを使って計算をします。
その中で必ず必要になるのが三角関数の知識です。
三平方の定理は中学で習いますが、三角関数はこれを利用して計算するテクニックです。
三平方の定理では直角三角形の比が \(1:1:\sqrt{2}\) 、\(1:2:\sqrt{3}\) と習いますが、これは交流回路の計算では常に出てくるレベルです。

サイン(sin)、コサイン(sos)、タンジェント(tan)や、その公式も計算の途中で何度も使います。

電験三種では180°をπとして扱う弧度法を使います。
そしてこのπを使ってcos30°は cos\(\displaystyle\frac{π}{6}\) 、cos60°は cos\(\displaystyle\frac{π}{3}\) 、のように表します。
その三角関数の値は覚えている必要があります。(以下、一部のみ記載)
| 弧度法 | 0 | \(\displaystyle\frac{π}{6}\) | \(\displaystyle\frac{π}{3}\) | \(\displaystyle\frac{π}{2}\) |
| sinθ | 0 | \(\displaystyle\frac{1}{2}\) | \(\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\) | 1 |
| cosθ | 1 | \(\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\) | \(\displaystyle\frac{1}{2}\) | 0 |
おそらくこのあたりの知識がある人とない人では、「理論」科目の勉強の効率がかなり変わってくると思います。
(3)ベクトル(数学C※旧数学B)
ベクトルは、電圧や電流の大きさと向きを表すのに使います。
下の図のように矢印で表します。
複雑な計算はなく、あくまで位相の向きを導くときや、2以上のベクトルの合成のために使います。
これは文系だと学んでいない可能性が高いので、初めに勉強した方がよい部分かもしれません。

(4)その他
その他、計算に使用する知識としては、ルートの計算、二次関数などの中学数学は必須です。
θ、φ、ωなどの記号を使用することにも慣れなければなりません。
πは3.14、ルート2は1.41、ルート3は1.73など、無理数の数字も、ある程度は覚える必要があります。
3.おすすめの数学のテキスト
・みんなが欲しかった!シリーズ
こちらは私が受験時に使用したテキストです。
初学者でも、文系でもとあるように、とてもやさしく説明しています。
逆に言えば、これで数学力を上げるのは難しいと思います。
あくまで数学に苦手意識がある、文系出身の方などが学習を始める前に手をつけるテキスト、といった感じです。
まずこれを読んで数学をざっと復習するのにいいと思います。
・中学数学から始める 電験三種 数学入門
ページは赤黒の2色使用していて、読みやすいと感じました。
中学数学から始めるというだけあって、説明も難しくなさそうです。
ネットの口コミでは、完全に電気の勉強をしたことない人には難しいという書き込みもありました。
過去に電気工事士の勉強をしていた人で、数学に自信のない方とかであれば、こちらのテキストを使ってみてもいいかもしれません。
・完全マスターシリーズ
有名な「完全マスター」シリーズの数学版です。
口コミによると、完全マスターシリーズ自体が難解なテキストらしく、電験三種に必要のない数学の説明もあるようです。
私もざっと目を通しましたが、積分やラプラス変換など、三種で使わなそうな分野も多く、まさに電気数学を完全マスターするためのテキストという感じでした。
二種以上の受験も検討していて、計算問題で点数を稼ぎたいというような人にはよいかもしれません。
赤黒の2色使ってるので、文字は小さく多めのページも、そこまで読みにくくなさそうです。
・ポケット版 要点整理(オーム社)
珍しいポケット版のテキストです。
前半に電験三種で必要な数学の要点を解説しています。
この要点がコンパクトにまとまっていて読みやすいと感じました。後半は過去問を128問掲載しています。
計算問題は机に向かってやらないとできないと思うので、ポケット版としての利点は少ないかもしれません。
(番外編)東大の先生!文系の私に超わかりやすく高校の数学を教えてください!
こちらは電気数学というよりも、高校数学でつまづいた方向けの本です。
ネットの口コミも結構好評でした。
テキストというより読み物で、高校数学で習う内容について、どのように使えるのかを対話形式で説明しています。
さすがに電験三種の受験には足りませんが、数学アレルギーの人でも読みやすいと思います。
4.まとめ
電験三種の試験では計算問題を捨てることはできません。
文系の人で数学が苦手な人はしっかり対策する必要があります。
とはいえ、問題を解くのに嫌でも数学を使います。
私は電気数学の初歩的なテキストに目を通した以外は、問題を解きながら覚えていった感じです。
これから電験三種の受験を考えている方は、この記事の内容を参考にしてもらえれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
電験三種で必要な数学の知識は高校生レベル
電気数学と呼ばれる範囲の代表は複素数、三角関数、ベクトル
自信のない人にはまず電気数学を学ぶといい
