【電気保安法人とは?】電気主任技術者の仕事について

電気主任技術者
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電気保安法人とは?(タイトル)
よーすけ
よーすけ

電気主任技術者の働き方として、電気保安法人があるよね?

どんな会社なのかな?

しばでん
しばでん

電気保安法人は、国から自家用電気工作物の保安業務を請け負っていいと認められた会社なんだ。

よーすけ
よーすけ

保安業務って?

しばでん
しばでん

建物の電気に異常がないか点検をするのがメインだよ。

ただし、資格だけではなくて実務経験を証明しないといけないんだ。

このあたりも含めて詳しく説明するよ。

この記事でわかること

  電気保安法人とはどんな会社?

  電気保安法人の仕事はどんなものがある?

  どうすれば電気保安法人で働けるか?

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1.保安法人とは

(1)どんな法人か

電気保安法人とは、電気事業法に基づき、所有者・管理者に代わって自家用電気工作物の点検を行うことが認められた法人です。

電気事業法施行規則には以下のように規定されています。
わかりにくいのですが、まずはそのまま記載します。

第五十二条第二項の承認に係る委託契約の相手方のうち前条第二号の要件に該当する者(以下「電気保安法人」という。)

電気事業法施行規則 第五十三条 3の二より引用

まず、「第五十二条第二項の承認」というのは、本来、物件の所有者が設置しなければならない電気主任技術者を「選任しない」ことの承認です。
また、「前条(第五十二条)第二号の要件に該当する者」とは、「法人」です。

つまり、この条文が言っているのは

電気保安法人とは、

経済産業大臣(または産業保安監督部長)の承認を受け、
保安管理業務(自家用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督に係る業務)の
受託契約を締結している法人

である、ということです。

電気保安法人イメージ
電気保安法人の関係(イメージ)

(2)保安法人として活動するには

保安法人として活動するには、管轄の産業保安監督部へ以下のような書類とともに承認申請書を提出して、認められる必要があります。

承認を受けるのに必要な書類

・委託契約する相手側の情報
・委託事業場一覧表
・委託契約書
・保安管理業務マネジメント規程
・登記簿など
・機械器具の保有状況届出書
・保安業務従事者の実務経歴証明書
・保安業務従事者の電気主任技術者免状の写し
・雇用証明書
・保安業務従事者を他の業務に従事させていない証明書

上記は関東東北エリアの場合です。管轄によって異なる場合があります。

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2.保安法人の仕事

電気保安法人の仕事内容としては、主に(1)月次点検、(2)年次点検、(3)竣工検査、(4)緊急対応など、になります。

(1)月次点検

ⅰ.点検する内容(まとめ)

はじめに月次点検で行うことを簡単にまとめます。

月次点検ですること

そして、これらを確認し点検表を作成して設置者(管理者)へ提出します。

ⅱ.月次点検の法的根拠について

点検の方法については「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」に記載があります。
以下に引用します。

月次点検を、次に掲げる要件の全てに従って行うこと

(イ)点検項目
 (a)電気工作物の異音、異臭、損傷、汚損等の有無
 (b)電線とそれ以外の物との離隔距離の適否
 (c)機械器具、配線の取付け状態及び過熱の有無
 (d)接地線等の保安装置の取付け状態
 (e)その他必要に応じて、保安規程に定める項目

「主任技術者制度の解釈及び運用」 電気事業法施行規則 第53条第2項第5号 電気工作物の点検についての説明より引用

具体的に、点検する対象は以下のように規定されています。

(ロ)対象設備等
 (a)引込設備(区分開閉器、引込線、支持物、ケーブル等)
 (b)受電設備(断路器、電力用ヒューズ、遮断器、高圧負荷開閉器、変圧器、電力用コンデンサー及びリアクトル、避雷器、計器用変成器、母線等)
 (c)受電盤・配電盤
 (d)接地工事の施設状況(接地線、保護管等)
 (e)構造物(受電室建物、キュービクル式受電設備・変電設備の金属製外箱等)・配電設備
 (f)発電設備(原動機、発電機、始動装置等)
 (g)蓄電池設備
 (h)負荷設備(配線、配線器具、低圧機器等)
 (i)その他必要に応じて、保安規程に定める設備

「「主任技術者制度の解釈及び運用」 電気事業法施行規則 第53条第2項第5号 電気工作物の点検についての説明より引用

その点検方法は以下のように規定されています。

(イ)電圧値の適否及び過負荷等
   電圧、負荷電流測定
(ロ)低圧回路の絶縁状態
  B種接地工事の接地線に流れる漏えい電流測定

「主任技術者制度の解釈及び運用」 電気事業法施行規則 第53条第2項第5号 電気工作物の点検についての説明より引用

以上の点検の他に、設置者及びその従事者に、日常巡視等において異常等がなかったか否かの問診を行い、異常があった場合には、電気管理技術者等としての観点から点検を行う、とされています。

(2)年次点検

ⅰ.年次点検で行うこと(まとめ)

年次点検について、簡単にまとめると以下のようになります。

年次点検ですること

これらの作業は内規に規定されており、必要があればそのほかの点検や清掃を行います。

建物を停電する必要があるので、スケジュール調整など事前に準備をすることになります。

ⅱ.年次点検の法的根拠

年次点検の方法については、「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」に規定されています。
以下に引用します。

年次点検は、月次点検に加え、以下の点検を行う

イ 1年に1回以上行う。(ただし、信頼性が高く、かつ、ロと同等と認められる点検が1年に1回以上行われている機器については、停電により設備を停止状態にして行う点検を3年に1回以上とすることができる。)
ロ 次に掲げる全ての項目の確認その他必要に応じた測定又は試験を行う。
(イ)低圧電路の絶縁抵抗が電気設備に関する技術基準を定める省令第58条に規定された値以上であること並びに高圧電路が大地及び他の電路と絶縁されていること。
(ロ)接地抵抗値が電気設備の技術基準の解釈第17条に規定された値以下であること。
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(ハ)保護継電器の動作特性試験及び保護継電器と遮断器の連動動作試験の結果が正常であること。
(ニ)非常用予備発電装置が常用電源停電時に自動的に起動し、停電復旧後停止すること並びに非常用予備発電装置の発電電圧及び発電電圧周波数(回転数)が正常であること。
(ホ)蓄電池設備のセルの電圧、電解液の比重、温度等が正常であること。
(へ)変圧器、電力用コンデンサー、計器用変成器、リアクトル、放電コイル、電圧調整器、整流器、開閉器、遮断器、中性点抵抗器、避雷器及びOFケーブルが、PCB管理標準実施要領Ⅱ.2.(1)に掲げる高濃度ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物に該当するかどうかを確認すること。

「主任技術者制度の解釈及び運用」 電気事業法施行規則 第53条第2項第5号 電気工作物の点検についての説明より引用

(3)竣工検査

電気事業法では、事業用電気工作物を設置する場合、技術基準に適合するようにしなければなりません


事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物を主務省令で定める技術基準に適合するように維持しなければならない。

電気事業法 第三十九条 (事業用電気工作物の維持)より引用

この事業用電気工作物(そのうちの自家用電気工作物)の保安を請け負っている電気主任技術者は、技術基準に適合するようにチェックをする必要があります。

そのため、工事で機器の新設・増設・入れ替えなどを行う際は、主任技術者は立ち会って検査を行います

工事中も、技術基準に適合しているかチェックして、直す部分があれば指摘しないといけません。

事業用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者は、主任技術者がその保安のためにする指示に従わなければならない。

電気事業法第四十三条第5項 より引用

受電電圧1万V以上の需要設備の新設の工事の場合、工事開始前30日以内に工事計画届出書を提出し、その計画に沿って実施され、技術基準に適合しているかを検査する、使用前自主検査が必要になります。

電気保安法人が請け負える受電設備は電圧7000Vまでのため、この使用前自主検査を行うことはあまりないと思います。

しかし竣工検査について、この使用前自主検査の基準を適用する場合があるようです。
経済産業省による「使用前自主検査及び使用前自己確認の方法の解釈」には使用前自主検査について以下のように規定されています。(受電設備の場合)

使用前自主検査の点検事項

(4)その他

主任技術者の業務としては緊急対応もあります。

「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」 には設置者から事故の連絡を受けた場合は、確認して適した対応をとる必要があると規定されています。

事故又は故障発生時に、次のイからニまでに掲げる処置を行うこと。

イ 事故又は故障の発生や発生するおそれがある旨の連絡を設置者又はその従業者から受けた場合は、電気管理技術者等が、現状の確認、送電停止、電気工作物の切り離し等に関する指示を行う。
ロ 電気管理技術者等が、事故又は故障の状況に応じて、臨時点検を行う。
ハ 事故又は故障の原因が判明した場合は、電気管理技術者等が、同様の事故又は故障を再発させないための対策について、設置者に指示又は助言を行う。
ニ 電気関係報告規則(昭和40年通商産業省令第54号)(以下「報告規則」という。)に基づく事故報告を行う必要がある場合は、電気管理技術者等が、設置者に対し、事故報告するよう指示を行う。

「主任技術者制度の解釈及び運用」 電気事業法施行規則 第53条第2項第5号 電気工作物の点検についての説明より引用

実際、自家用電気工作物を設置している方が電気を購入している東京電力などに連絡しても、「主任技術者へ対応してもらってください」と言われるようです。

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3.保安法人で働くには

(1)保安法人の現状

例として、関東東北産業監督部電力安全課の公開している電気保安法人一覧においては192社が掲載されています。(令和5年12月時点)
しかし、これは申請時点の情報とのことで、現在も要件を満たしているか、また事業を行っているかは不明とのことです。

経産省の調べによると、主任技術者の選任について外部委託が9割を占め、その約6割が電気保安協会と電気保安法人となっています。(令和4年3月末時点)
そして電気保安協会の従事者の年齢については、50代以上が半数を超えています。(令和3年3月末時点)

外部委託の受託先
電気保安協会の年齢構成


一方で、自家用電気設備の数は増加傾向にあり、この人材の需給ギャップが問題視されています

2018年時点の情報ですが、2003年から2016年まで年平均0.6%増加していて、特に業務ビル(高圧)は2016年から2030年までに16%増加する見込みとのこと。

経済産業省では、このような人材不足への対策としていろいろ話し合っているようです。

令和4年の資料によると、遠隔地より点検を実施できるよう、カメラの設置について「主任技術者制度の解釈と運用(内規)」に定めることが検討されています。

参考:
「電気主任技術者制度について」(経済産業省 令和5年10月26日)

「電気保安人材に係る制度見直しとスマート保安技術の導入促進について」 (経済産業省 令和4年1月17日)

(2)必要な資格や経験

電気保安法人で働くこと自体はもちろん資格は問われません。
しかし外部委託として自家用電気工作物の主任技術者として働くには、電気主任技術者の免状を取得している他に、一定の実務経験を積む必要があります

受託できる設備は高圧(電圧7000V以下)に限られるため、資格は「第3種電気主任技術者」となります。

実務経験は、原則5年、短縮講習を受けた場合は3年となります。

実務経験の積み方は職種によって異なるのですが、保安法人の場合は21を1ヶ月として5年または3年を超えていれば実務経験として認められます。

※以前は21日を1ヶ月としていたのが、最近緩和されました。(外部リンク)

実務経験としてカウントできるのは主任技術者としての業務に限られるため、例えば低圧の電気工事の監督や調査、設計の業務などは含まれません。

保安法人の業務で実務経験に含まれるものは、主に月次点検と年次点検になると思います。

また申請の際には委託契約書の写しが必要になります。

年次点検であっても、応援としてリレー試験を行う、などでは直接委託を受けていないため、実務経験にカウントできない点は注意が必要です。

電気主任技術者試験についてはこちらの記事で説明しております。

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4.保安法人の給与や待遇は

保安法人の求人はビル管理会社や工場に比べると少ない印象です。

代表的な某保安協会の採用ページでは、平均年収は571万円としています。

経験ありの場合は、募集要項の月収の中央値をとり、ボーナス8.5ヶ月で計算すると、約560万円となります。
経験が不足していて、補助の場合は少し下がって年収435万円となります。(30歳、賞与5ヶ月の場合)

さすがは最大手、なかなかの水準と言えます。

未経験者の採用は少ないのですが、現在募集している会社と私が内定をいただいた会社との4社を比較すると、その給与の平均は340万円となりました。(2024年5月現在)

経験者であればよい条件の求人もありますが、未経験ではあまり高い報酬は期待できなそうです。

A社B社C社D社4社平均
400万円336万円324万円300万円約340万円

保安法人では、経験が足りない社員は物件の担当にすることが出来ないため、なかなか積極的に採用できない事情がありそうです。

私の転職活動の経験からも、企業側としては年齢が若いか、実務経験をいくらか経た人でないと採用は難しいのでは、といった印象でした。

一方で、私の聞いた話では、柔軟な働き方を認めている会社が多かった印象です。

特に電気を止める年次点検では、深夜や土日になることも多いのですが、最近はお客様の協力もあって平日の日中に点検できるケースが増えているようです。

月次点検では色々な場所へ訪問するため、会社に出社するのが大変な場合があります。
そのため自宅から直接現場へ向かうなど、直行直帰が認められている会社も多かったです。

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5.まとめ

設置者に代わって電気主任技術者の業務を請け負う電気保安法人について解説しました。

電気主任技術者の仕事はあまり馴染みのない方が多いと思いますが、電気を安全に使用するためには欠かせない仕事です。

近年は人材不足などもあり、電験三種の試験日程や保安業務従事者になるための実務経験など、制度の変更が続いております

新しい情報が出ましたら記事に反映するように心がけていきたいと思います。

電気主任技術者に興味がある方にとって、こちらの記事が少しでも参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。